ナント種苗総合カタログ2024
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初めてピノ・ガールが出来上がり、実際販売してみて驚きました。「販売単価がすごく良かった!」。そして何よりも「食味が好評!」。またピノ・ガールのセールスポイントである、「本当に種が食べられるサイズだった!」ので、部会員の間でも話題になりました。2年目以降は、噂を聞いた部会員の多くが作付けを始めました。3年目の今年は、部会のメイン品種となりました。実際、今までの品種に比べて、秀品率が悪い時期もありますが、販売単価も差があるため、ピノ・ガールに品種変更した結果、部会員の反収は上がりました!しかし栽培的には多くの課題がありました。最も苦労したのは、台木の選定です。千代川地区では、多くの圃場が秋冬白菜を栽培しており、同じ圃場でピノ・ガールを作付けするため、残肥が多く、台木を弱くしてもピノ・ガールの草勢が強くなってしまいました。また圃場によっては、西瓜の連作となっているため、強い台木を使用しても、最後まで蔓が保てない場所も目の当たりにしました。これらの課題を解決するために、毎作、月1回できるだけ多くの圃場をナント種苗の奥野ブリーダーが巡回をしてくれ、「ここの畑は強い(弱い)なら台木を変えるか、肥料を減らす(増やす)は来年検討した方が良いです。ただ台木も肥料も変えるのだけは、どちらが効果が出たかわからないから止めてね」とご指導を頂きました。その学びと反省を次年度に活かし、3年目の今年はほぼ満足できる台木選定と施肥設計が出来てきたのではないかと思います。来年以降引き続きナントさんと一緒に部会員がひと玉でも多く、美味しいピノ・ガールを出荷できるよう栽培技術を向上していければと思います。現在一部の方が10月下旬〜11月上旬出荷の「ピノ・ガール抑制栽培」にも取り組んでおります。ピノ・ガールを長い期間、提供できればと検討しております。それに加え、実は以前の品種で問題になっていたのが裂皮・裂果でした。ピノ・ガールでは、その問題がほぼ無くなりました。他の方の記事で、ピノ・ガールも裂果すると書いてあるのを見ましたが、この部会では真逆です。ピノ・ガールを導入したことで裂皮・裂果が減り、品質が良くなりました!。それだけではなく、ピノ・ガールは他の品種よりも「日持ちが良い」と販売先から言ってもらえます。特にスーパーマーケットと取引している市場は、顕著に分かるそうです。部会として、6月末から黒小玉西瓜の出荷がスタートするのですが、販売先から6月下旬までピノ・ガールがたくさん欲しいと要望がきています。販売先から人気があるって嬉しいことです。味については、もう皆さんご存じの通りです。今では他品種の食感が柔らかく感じるようになりました。味も食感も良い、部会の「美味しい」ピノ・ガールを一人でも多くの方に食べて貰いたいです。部会メンバーによるミーティングの様子2023年の現地栽培講習の様子ピノ・ガールはシャリシャリ食感も魅力トンネル内にゴロゴロ着果するピノ・ガールJA常総ひかり千代川地区西瓜部会JA常総ひかり千代川地区西瓜部会部会担当 飯村友也さん部会担当 飯村友也さん14ピノ・ガールとの出会い〜現在。向き合う課題と解決策。部会としてピノ・ガールの栽培を始めたきっかけは、3年前に販売先市場からの紹介でした。それまでは、他社の通常サイズ種子の品種がメインで作付けされていました。紹介された当初は、メイン品種に特に不満もなく、栽培にも満足していましたが、せっかくの話だったので、3名の部会員が試しに植えてみようとのことになりました。品質向上!!ピノ・ガールのおかげで、部会全体の「裂果」が減りました。品質が良くなりました!昨年(2022年)のピノ・ガールは、ハウス作で強い台木を使用したため、空洞果が多発して秀品が少ない出荷となりました。その一方、メインのトンネル作では今までの品種に比べて着果数も多く、うるみ果も無く、とても在圃性に優れていました。高温期となる終盤でもピノ・ガールにはうるみ果が無く、部会内で食味が最も良いという結果でした。

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