熊本県JA菊池すいか部会では大玉すいかの共選出荷は3月半ばから6月末までとなりますが、令和5年度より「金色羅皇」は「産地化3年計画」として、試験栽培・試験販売が行なわれており、2年目となる令和6年度は25名の生産者が、合計4.2haの面積にて拡大試験を行いました。●「金色羅皇」に出会ったきっかけ元々、黄色い果肉の「クリームすいか(品種は『サマークリーム』)」の生産・出荷も行っていた部会です。今から3年前、クリームを栽培していた2名の農家さんがクリーム改良系として「金色羅皇」を少量だけ栽培試験することになったのですが、その収穫物を試食した際に、これまででは考えられない衝撃的な甘さに度肝を抜かれました。普段の検品・試食では、殆どの農家さんはすいかを一切れくらいしか食べないのですが、「金色羅皇」の場合は何個も何個もその味を確かめながら試食していたのが印象的でした。そこで、全国に先駆けて「金色羅皇」の産地化に取り組もうということになりました。菊池市菊池市合志市JA菊池すいか部会「金色羅皇」生産者の皆さんと山野邦彦指導員(2列目右端)。すいか選果場にて。JA菊池すいか部会 産地概況JA菊池は熊本県の北東部に位置しており、阿蘇外輪山系を有する中山間地と、菊池川・白川流域に広がる台地・平野部を擁しています。水田・畜産・露地野菜など様々な農畜産物が生産されていますが、中でも西合志・合志を中心としたエリアはビニールハウスが立ち並ぶ施設園芸地帯となっており、そこでは昭和中期からすいかの生産が盛んに行われています。冬は冷え込みが強く、夏は猛暑となる盆地型の厳しい気候で育まれる菊池のすいかは、澄んだ水と昼夜の寒暖差により美味しくなり、更に糖度センサーで厳しく選別され、全国に出荷されています。2■JA菊池すいか部会 ・部会の人数 : 60戸 ・すいか作付面積 : 大玉71ha・小玉12ha ・「金色羅皇」の生産メンバーと作付面積 : 25名・4.2ha●インタビュー ・JA菊池 西営農経済センター園芸販売課 山野 邦彦 指導員 ・すいか部会 生産者の皆様●取材 ・ナント種苗 高瀬 雅庸(2024年8月現在)(2024年9月取材)「金色羅皇」は過去に例を見ない高糖度と食味品質が流通市場において高い評価を受けていますが、最低基準となる中心糖度13度を超える品質を維持するための選果基準や栽培難易度の高い当品種を安定的に作りこなすための栽培技術の確立など、高品質をバラツキなく担保しつつ供給拡大を行うには高い障壁があります。そのため、大人数の集団組織で「金色羅皇」に取り組む産地は、全国でもほとんど存在しないのが現状です。そんななか、JA菊池すいか部会様は全国に先駆けて「金色羅皇」の集団産地化に取り組み、向上心の高い農家さんの熱意と糖度センサーによる選果を武器に、取り組み2年目となる令和6年は2万玉以上を出荷・販売され、流通市場ではその果実品質が高い評価を得ました。 JA菊池すいか部会「金色羅皇」産地リポート今回は熊本県・JA菊池すいか部会様の「金色羅皇」の取組みについてリポートします。幻のすいか「金色羅皇」の高品質安定供給を目指して。農家の情熱と糖度センサーによる機械選果を駆使し、部会組織としての産地化に挑む。
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